現在、忍性菩薩御生誕の地、奈良県磯城郡三宅町屏風の里にあるお寺、浄土寺 藤田能宏住職が忍性菩薩御生誕にむけて御尊像を製作されています。そこで今回は御尊像を実際に作っておられる仏像彫刻家の吉水快聞さんにインタビューしました。

吉水快聞

1982年奈良県に生まれる
2002年東京藝術大学美術学部彫刻科 入学
2005年伝宗伝戒道場を成満し浄土宗の僧侶となる
2006年東京藝術大学美術学部彫刻科 卒業
東京藝術大学大学院美術研究科 文化財保存学専攻 保存修復研究領域 彫刻 入学
2008年 3月同大学院 修了
2008年 4月同大学院博士後期課程入学
2011年 3月博士(文化財)号取得
研究論文『快慶と快慶風の阿弥陀如来立像について
―東大寺俊乗堂像の模刻制作と善光寺像の修復を通して―』
研究作品『東大寺俊乗堂快慶作阿弥陀如来立像想定復元模刻』
2011年 4月工房『巧匠堂』設立
2013年浄土宗 東光山 正楽寺 住職就任
2015年大正大学 客員教授 就任現在彫刻家として創作・仏像制作・文化財修復など多方面で活動中

 
 
 
 
 

 写真:萩村裕子
写真:工藤顕任

1982年古都奈良のとあるお寺に生まれる。2010年東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻保存修復彫刻において快慶の阿弥陀如来立像を中心に研究を行い、博士号(文化財)を取得。現在、彫刻家として創作・仏像の制作等を行う。2011年9月、工房の屋号を「巧匠堂」とし、制作拠点を奈良に構える。(「巧匠」とは、工人などの意味であり、鎌倉時代の仏師快慶が「巧匠 アン(梵字)阿弥陀仏」などと称し、その弟子などに受け継がれた。)
 
温故知新
 
 日本における彫刻文化財の多くは「仏像」です。私は、仏像とは「古いもの」ではなくてとても新しいものであるのではないかと考えています。
 「伝統」とは、過去を学び再構築し現在に生かしていくことではないでしょうか。そして、さらには「その行為」が次の「伝統」を創っていくのではないでしょうか。長きに渡り大切に守られてきた仏像の調査・修復・模刻研究を通じて、偉大な先人より「技法」「造形表現」を学び、日本人の心に刻まれた美意識を自らの造形表現に生かし、制作をおこなっていきたいと考えています。

仏像彫刻家 吉水快聞さんにインタビュー

 
━━━忍性さんのお像を作るきっかけはなんですか?
  

  • 同じ浄土宗の藤田さんにお願いされた事です。

    藤田さんのご自坊は忍性さんの降誕の地にあり、そこに御尊像をお迎えするのがご自身の夢だと語られてました。当時、藤田さんは忍性さんのお像を彫れる人を探しておられたんです。

    先に相談した仏師の方もいたそうなんですが、現存する唯一の忍性像のある極楽寺さんに行って相談したら大きさのせいか「手に余る」と断られたそうなんです。

    その当時、私の父と藤田さんは交流があり、その繋がりで私に今回の忍性さんのお話が回ってきたんです。それで藤田さんと一緒に極楽寺さんに行かせていただき、これも縁だと思い引き受ける事にしました。当時まだ私は藝大の学でした。

 

━━━忍性さんを作るにあたり最初にされた事は?
  

  • 知らない人は彫れないので、まずはその人物像を知る為に本を読むところから入りました。そして、極楽寺さんに安置されている像を調査、計測させていただきました。肖像ということで少なくとも似せないといけませんからね。その後、大学を出て奈良に戻り真言律の般若寺さんの近くに工房を構えた当初は、ここが奈良坂で忍性さんが活動をしていた場所とは知らず、後から聞いてびっくりしましたよ。ご縁だなぁと思います。そのご縁で般若寺さんに袈裟や法衣を見せていただいたりもしました

 

━━━毎日忍性さんと向き合い、お像を彫る上で考える事はありますか?
  

  • 鼻の大きなだなぁ~とか?違うか(笑)

    彫りながら自分が制作している仏像に対して感じた事をというのは答えが難しいですね・・。私は彫る側の人間ですからどんな風な像にしたいのか、肖像なので忍性さん自身がどんな人だったか想像をしながら彫っています。

    実は最初、藤田さんにお願いされた時は極楽寺の模刻をお願いされたんですよ。でも調査させていただいたりしているうちに、私の願望もあり、お顔などはもちろんオリジナルに似せて造りますが、衣装等は極楽寺さんで見せいていただいた袈裟や西大寺の叡尊さんのお像などを参考にしつつ創作しています。

 

━━━最後に、お像のここを見てほしいという所はありますか?
 

  • それは完成してからですね(笑)

 
━━━楽しみにしています。ありがとうございました。
 
 
吉水快聞さんは 忍性 像を 極楽寺の像の調査などを踏まえ 独自の見解の元 彫っておられます。
若くして、工房「巧匠堂」立ち上げられ、今や奈良を代表する仏師の一人です。今後が楽しみです。